解約は「契約乗換え」のためだが
2025年10〜12月の生命保険の解約返戻金が、四半期ベースで過去最高の3.8兆円に達しました。この数字だけを見ると、「生命保険離れが進んでいる」と最初は感じました。しかし調べてみると、違いました。実態は契約をスッパリやめたのではなく、金利上昇を受けて予定利率の高い新商品に「乗換え」ているのです。なるほど、そんな背景があるのです。
金利上昇にともない、生保各社が競うように新商品を投入している状態だと理解しました。契約者にとっては、低金利時代に結んだ保険を解約し、より有利な条件の商品に入り直すのは合理的な行動だと思います。
ただし、経注目すべきは、この「乗換え」が生命保険会社の資金繰りに与える影響です。解約返戻金を支払うために、生保は手元の現金を取り崩しや、保有資産を売却が発生するのだろうか。または、今後の生保会社の資産運用に影響があるのか。そこが知りたいところです。
生保の購入余力が細るのか
生命保険会社は、日本国債の最大級の買い手。長期にわたる保険金支払いに備えて、安定した利回りが見込める国債を大量に保有してきました。それが今後、国債の購入が減少することは発生しないのだろうか。そんな疑問が頭に浮かんでしまいます。
生保業界主要13社の国内債含み損は2025年12月末時点で26兆円を超えています。資産の割合から見れば、問題にはなりませんが、含み損は昨年より増加していますし、今後もどうなるかはわかりません。
・金利上昇→生保解約増加
のプロセスだけは覚えておきたい部分です。
金利はどこまで上がるのか「3%到達」の現実味
では、この金利上昇はどこまで続くのでしょうか。三井住友DSアセットマネジメントは「日本の長期金利3%到達は間近なのか」というレポートを公開しています。
・構造的な金利上昇圧力の存在
を指摘しています。日銀の利上げ観測、巨額の財政赤字、そして生保をはじめとする機関投資家の国債離れ。これらが重なれば、金利がさらに上昇する余地は十分にあります。そのつもりで予測しています。最近も1日で急上昇する局面がありました。ちょっと急速な動きではないかと感じています。
まとめ
金利は国債の動きだけでなく、他の要因も影響しています。同時に成立しない課題も抱えています。その例として、
『財政運営において、
①財政支出を増やす、
②財政の持続性を確保する、
③国民に負担を求めない、
の 3 つを同時に達成することはできない。これを「財政のトリレンマ」と呼んでもよい。』
という内容もあります。(門間一夫氏「高市財政のトリレンマ」)
現在の日本の状況は、無理難題に取り組んでいると思って間違いないでしょう。そのため、同時にすべてを解決することはなく、何かを解決すれば、その一方でマイナスな状況も発生するつもりでいるしかないのです。
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