「便利なはず」が「使いにくい」
メルセデス・ベンツが、今後の新型車で物理ボタンを復活させる方針を明らかにしました。顧客から
「タッチスクリーンへの集約はアイデアとしては良いが、自分たちには使いにくい」
という声が寄せられたことを認めています。たしかに使いにくい。物理ボタンのほうが操作しやすい。タッチスクリーンは視線が必要。その分、危険でもある。その点、物理ボタンは視線は不要。運転する側から見れば、とても理にかなった操作性なのです。しかし、最新という名で
・タッチスクリーン
が普及してきました。これは20年前のクルマでもタッチスクリーンが搭載されているのを見ると、最近のことではありません。しかし、ここにきて、物理ボタンへ回帰する現象が出ているのです。
すべて戻すわけではない
エアコンの温度調整や音量操作のように、運転中に頻繁に使う機能まで画面内のメニューに格納した結果、操作に従来の4倍の時間がかかるというデータも出ています。
注目すべきは、メルセデスが物理ボタンを戻す一方で、大型ディスプレイは維持するという判断です。デジタルを捨てるのではなく、デジタルとアナログの最適な組み合わせを模索している。ここがポイントでしょう。
デジタル、アナログという切り口で判断するのではなく、良いところを採用するという姿勢は見習う部分でもあります。
「偏重」の落とし穴
デジタル偏重はAI変調とも重なります。企業の電話応対をAIに代替する企業も出てきました。しかし、本当にそれば顧客から見てベストなのでしょうか。電話する顧客が求めているものが深いほど、AIが応対すると不快です。この点は経営者が見極めるポイントであり、判断によっては業績を左右することになるので、実は重要な部分なのです。
切り替えた結果、顧客が離れてしまったでは意味がないのです。
まとめ
ビジネスは
・足し算
で考えがちですが、ときには
・引き算
で考えるタイミングもあっていい。「引き算」の思考で判断するプロセスを持っておくほうがいいのです。
メルセデス・ベンツの物理ボタン復活は、「最先端=最善」ではないことを示しました。どれがベストなのかは、企業によってちがいます。マネをするのではなく、その判断基準を取り入れることです。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆
