真面目な経営者ほど倫理が「消える」のか

不正をしようと思って不正をする人は少ない。この心理を解き明かす概念として「倫理的フェーディング」があります。2004年に提唱された概念です。

・ビジネス上の目標(売上、利益)や成長率にフォーカスし過ぎて、意思決定に含まれる倫理的な次元が視野から「消えてしまう」現象のこと
です。数字のためなら、倫理的なことが抜け落ちる現象です。

会社のため

むしろ次のように感じているのかもしれません。
・「会社を守るため」
・「目標達成のため」
・「取引先との関係を壊さないため」
という善意の衣をまとって、判断の中から倫理が完全に抜け落ちていく。

大手企業が買収したWebサイトがアクセス数を確保するために
・医学的な間違いを掲載し続けた
ことがあります。医師からの忠告が届いていたのにも関わらず、アクセス数を落としたくない運営側がそのまま掲載し続け問題になりました。アクセス数が多ければ広告収入も増えるので、収益優先の決定をしていたのです。

自己欺瞞を支える「4つの装置」

倫理的フェーディングを引き起こす自己欺瞞のメカニズムとして4つをあげています。

第1に
・「言い換え」
です。たとえば、データ改ざんを「最適化」と呼んでいるのです。言葉が変わると、行為の重さが消えます。

第2に
・「ズルズル型の意思決定」
があります。1回の小さな逸脱が次の逸脱を許していきます。その後は、坂道を滑り落ちるように、止まれなくなるのです。

第3に
・「因果関係の錯覚」
です。「自分がやらなくても誰かがやった」、「市場環境がそうさせた」と、責任の所在をぼかすメカニズムです。

第4に
・「自己像の制約」
です。たとえば、「自分は誠実なリーダーだ」という自己認識が強いほど、目の前の行為を不正と認めることができなくなるのです。これも心理です。

この4つが組み合わさったとき、普通のリーダーが知らぬ間に取り返しのつかない場所に立つようになっていくのです。

まとめ

企業不祥事の不祥事の報告書は目を通すようにしています。そこに書かれてある要因を知るためです。どうして倫理的判断ができなかったのか。倫理的判断をしなかったのか。その環境を知りたいと思うのです。

倫理的フェーディングは、本人の自己欺瞞のメカニズムを正確に表しています。どこにでも発生する内容だと感じるので、知っておきたい領域です。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆