fjconsultants Blog:4,502投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆

業界研究のおもしろさ

業界研究をおもしろいと感じたことはありますか。
初めて知る業界の状況。業界の歴史を振り返りながら、現在の業界の慣習をつくり出した要因を知ると興味が尽きません。
「そんな慣習があるのですか」と驚きもたまにではないのです。
それがその業界では当たり前であり、長年の慣習。
外から見れば違う景色で見つめることが可能なのです。

業界慣習には歴史がある

業界の慣習ができあがったのには理由があります。
ほとんどが業界関係者のパワーバランスによって形成されてきた経緯があるのです。
ときには強かった側が強い要求をし、弱い立場になると今度は要求される側になっていきます。

メーカーと販売店の関係と歴史


わかりやすいところでは、メーカーと販売店の関係。
戦後、大量生産による巨大メーカーの出現でメーカーのパワーが強くなりました。
そのメーカーだけ扱う販売店が全国に広がった時代です。

その後、独立系の販売店が成長して、小売の方がパワーを持つようになりました。
スーパーマーケットや家電量販店はその典型的な事例です。
今はネット通販が躍進しており業界によっては大きくパワーバランスが変化しています。
これをパワーを持っていた側の人はパワーバランスの崩壊と呼んでいます。
新しくパワーを持ち始めた人たちは業界の再編、業界の進化と呼んでいます。

どちらにせよ、パワーバランスは一定ではなく時間とともに変化していくのが当たり前。
なので過去から現在のパワーバランスにを把握しながら将来の方向性を見据えていくのがベストです。

街

こんな慣習が存在している

定価と呼ばれる価格がありますが、定価設定ができた時代はメーカー側のパワーが強かった証拠です。
今を見ればわかりますが定価設定は減少しました。
オープン価格という表示へと変化したのです。

定価設定できた時代は開発コスト、原価の設定がしやすくメーカー側は安定して収益を出すことができました。これがオープン価格になると実際に売れる金額は最初にはわかりません。
売り出してから判明することになります。

そのため、メーカー側が収益を上げるには事前リサーチがカギになっています。
販売側が強くなっているからです。
販売量が多い企業が価格決定権を握っているのでメーカーは販売側の関連会社・協力会社のポジションです。

コンビニ・ホームセンター事例

コンビニエンスストア企業が食品製造メーカーを集めて商品開発をしているのみると開発領域でさえ販売側が握るようになったのを感じます。
ホームセンターの商品もメーカー側が試作品を持ち込み「いくらなら売れるのか」を協議しています。
発売まで商品を見せない手法ではなく販売する側を焼き込んで開発さているのです。

こうして見てくると販売側の企業が商品開発、製造まで領域を増やしていくのは、自然な流れに感じます。
メーカーと一緒になって開発業務をしているので、それなら製造部門をつくり内製化する。

ユニクロやニトリ、JINSなどが事例としてよく取り上げられます。
中には製造だけでなく材料まで領域を広げてきる企業もあります。
こうなると下流から上流へ昇る企業のほうが目立つのが特徴です。
戦後の大量生産のときは上流のメーカーが下流の販売領域まで降りてきました。
直営店や専任の販売店舗網をつくりあげてきたのです。
完全に展開の流れが逆転しています。

まとめ

業界の慣習を調べるには書籍・雑誌・ネット情報が主になります。
その中で注目できるのは取材した情報ではありません。
実は、小説なのです。
ビジネス小説です。

ある企業を題材にしたり、ある業界を題材にしたりして小説は描かれています。
フィクションなので逆に真実に迫ったことを描くことが可能なのです。
特に業界のタブーとされている慣習は小説にしか存在しません。
だからこそ興味が尽きないのです。

業界のカラクリやパワーバランス、仕事の手法や業界の雰囲気。
それが手に取るように理解できます。

業界研究はこうした興味を持ちながら進めていきたい部分だと感じます。