【fjコンサルタンツ365日Blog:3650投稿目】fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆
レモン市場とは
「レモン市場」という言葉があります。
もともと昔の中古自動車市場のような状態のことを指しています。
具体的には、買い手には商品の良さを判別する情報がほとんどなく、売っている商品も粗悪品が多い状態です。
買ってみたら失敗した、ということが起こる市場のことを指しています。
商品の良さを見極める情報を売り手側だけが所有していて、買い手の顧客側にはほとんどない状態。
これを情報の非対称性とも呼んでいます。
粗悪な商品の割合が多くなると買い手は市場から退場してしまい、結局のところその市場では粗悪品が増加するという
悪循環に陥ることでもあります。
現在の中古自動車市場はそのようなことはほとんどなくなりつつあります。
日本にもあったレモン市場
日本にもかつてはレモン市場がありました。
代表的なものは、外車バイク市場です。
特に米国のアメリカンバイクはその典型でした。
現在は販売のルートが正規販売店だけになりましたが、それ以前は正規販売店がほとんどなかったのです。
個人のバイクショップが販売しており販売のお店なのかバイク整備のお店なのかもわからないような状態。
バイクは置いてあるがプライスカードもなく販売後の保証やアフターメンテナンスもよくわからない。
特に中古バイクは品質の良さを判断できる基準が買い手側にまったくなかったのです。
それをこのメーカーは整備してきました。
正規販売店しか新車販売できないようにし中古バイク市場の価格も安定化させてきたのです。
今では新規で購入する人も増加し若年層、女性顧客も増やしてきたという成功事例のひとつです。
レモン市場にはチャンスばかり
経営の戦略を考えるとき、こうしたレモン市場を狙うにはリスクがあります。
しかし、戦略は立てやすいというメリットもあります。
もし粗悪品ばかりで顧客が見向きもしない市場に参入するにはどこから手をつければいいのでしょうか。
①金額明確化・品質明確化
最初に行うのは
①明瞭化
です。
金額が不透明であれば金額の明瞭化を行い、商品の品質がわかりにくいのであれば品質基準をつくっていくのです。
中古自動車、中古パソコンなどは品質の基準を明確にしてから購入者が増加しました。
安いものでも理由がわかれば安心して購入できるのです。
②情報提供ツール整備
次に行うのが
②情報の非対称性を解消するツール整備
です。
①の明瞭化基準を設定した後に、こうした情報を発信する仕組みが必要になってきます。
単純に悪評を駆逐する作業とも言えます。
評判が悪いから「良くする」だけなのです。
そのためにツールを整備して顧客への啓蒙活動、教育プロセスがここでは求められます。
対象となる顧客層や商品によって情報発信のツールは違います。
WEB、SNSだけではありません。ときには「書籍」を出すことも大きな戦略のひとつです。
たとえば健康に関する書籍が増加しているのは情報の非対称性を解消するために行っているわけです。
また書籍に書かれてあることは信用性が高く受け止められる傾向にあるのも特徴です。
健康に関する情報は「信用」できる情報源から得たいという心理もはたらいているので書籍は適したツールなのです。
WEBより書籍の方を信用する人が多いのは事実なので書籍を広告宣伝ツールとして利用するのは経営戦略のひとつと言えます。
このようにレモン市場を狙うには
①明瞭化
②情報の非対称性を解消するツール整備
という経営戦略のプロセスを描いていくことです。
まとめ
このようにレモン市場はリスクもありますがチャンスも大きい市場であることがわかります。
リスク対策をしながらチャンスをつかむには、明確化と情報提供です。
実践内容はシンプルなので方向性を見誤らないようにしながら進むことです。