【fjconsultants365日Blog:3,893投稿目】経営コンサルタント藤原毅芳執筆

2012年と2019年の比較

定点観測に意味があるのか?
統計データは加工して捏造できるのではないか?
統計データは見せ方によって人を騙すこともできるのでは?

と考えている人もいるかもしれません。
どれも事実です。
まちがいはありません。

しかし、統計データは部分的でも現実を見せてくれます。
どこまで信じるかは、その人の力量になるかもしれませんが
見ないより見ておいたほうが客観的視野を持つことになります。

たまたま見ていた
「政府広報オンライン」https://www.gov-online.go.jp/

「データで見るアベノミクス」
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/abenomics/index.html
がありました。

データで見るアベノミクス

そう言えば最近「アベノミクス」という単語を聞かないな
と思いながら確認した次第です。

いくつか抜粋しながら2012年と2019年のデータ比較を
見ていきたいと思います。

森

大きく改善、日本経済

まず最初に目を引くのが次のキャッチ。

データで見るアベノミクス

「日本経済が大きく改善」
とあります。

「大きな成果が生み出されている・・・雇用・所得環境も大きく改善・・・」
とあり具体的には下記の数字が列挙されています。

マクロ経済の改善

データで見るアベノミクス

・名目GDPは12%の増加
・企業収益は72%の増加
・就業者数は6%の増加
・国、地方の税収は35%の増加

となっています。(表現はすべて%にしてみました)
%の表現にすると企業収益が大幅に伸びているように見えてきます。
具体的にはどうなのでしょうか。

設備投資は増えているが

データで見るアベノミクス

企業収益は72%の増加ですが
・設備投資は25%の増加
になっています。

設備投資はリーマンショック前を超える水準ではありますが
限定的ではないでしょうか。

リーマンショック前の設備投資金額は
・76.8兆円(2007年)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kanmin_taiwa/dai3/siryou9.pdf
となっており、2007年と2019年を比較してみると
・76.8兆円(2007年)→89.9兆円(2019年):16%増加
になります。

要するに、収益は上がったが設備投資も増加しているが
それよりも有利子負債を減らし、内部留保を増やしている企業の
方が多いのではないかということです。

というのも、他の資料から抜粋した上記資料を見ると傾向が
わかります。

上場企業1,353社のデータで、実質無借金企業は増加し続けている
ことがわかります。

設備投資やビジネスの投資先が乏しいのか、それより経営の安定を
目指して実質無借金へと走っているのかわかりませんが大企業ほど
実質無借金の傾向が強いことがわかります。

一節には、金融機関がリーマンショック時に完全に対応してくれなかった
という思いがあり、金融機関を頼ることができないという意識が
強まったことが更に拍車をかけているようです。

緑

まとめ

シンプルにアベノミクスのデータを振り返りましたが
全体では増加→善という流れに見えます。

部分的には、本当に正しい増加なのかはわからない部分もありますが
雇用関係は大きく改善しているのを実感している人は多いのでは
ないでしょうか。

あとは今後です。
これからが重要な時期になります。
この2012年からの文脈上に将来があるとは思えません。
どのように線を引いていくのか。
予測線を描いていくのか。
経営者の力量が試される時期に来ています。