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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆

呪縛からの開放

あえて呪縛からの開放と表現しましたが、
銀行の企業に対する対応が変化する、という
予測が出ています。

「銀行の中小企業に対する姿勢が変わるかもしれない」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53871640X21C19A2L41000/

と新聞記事に出ていました。

20年間銀行を囲っていたルールがなくなりました。
(金融検査マニュアル廃止)
銀行の自由度が高まったのです。
そうなると、今までの融資判断とちがう側面が出てくるのでは、
という期待で記事は書かれています。

元になる金融庁の資料は資料はこちら。
https://www.fsa.go.jp/policy/supervisory_approaches.html

その中からいくつか抜粋してみます。

お札

もともとの目的から外れていった

20年前に金融検査マニュアルができたのは、
バブル処理を適正にすすめるため。
いわゆる不良債権処理を円滑にすすめるためのマニュアルだった
のです。

それが昨年(2019年)まで存在していましたが、実態にそぐわない
状態が見受けられるようになったのです。
それが、下記の内容。

① 担保・保証への過度な依存、貸出先の事業の理解・目利き力の低下といった融資行動への影響が生じた(これに対し、バブル期以前には、運転資金、設
備資金等の資金使途や返済財源に着目し、将来のキャッシュフローを重視し
た融資が行われていたとの指摘がある)。
② 過去の貸倒実績のみに依拠して引当を見積もる実務が定着した結果、金融
機関が認識している将来の貸倒れのリスクを引当に適切に反映させることが
難しくなった(個々の貸出先の債務者区分の変更により引当額を増減させる
実務では将来のリスクを適切に反映することが難しい)。

「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」より
https://www.fsa.go.jp/news/r1/yuushidp/yushidp_final.pdf

今回は、長年続いた金融検査マニュアルを廃止して
銀行の自由度を上げ、実態に合った内容にするのが狙いです。

金融庁が示した融資に関するイメージは下記図になります。

融資に関する検査・監督のイメージ
「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」より
https://www.fsa.go.jp/news/r1/yuushidp/yushidp_final.pdf

自由競争へ

この金融検査マニュアル廃止は、ある意味『競争自由』の
フィールドに変化したと解釈できます。
この機会をきっかけに過当競争になる状況も推測されています。

まさしく異種格闘技戦のような様相になるかもしれません。

事業性評価になるのか

経営者の側から見ると気になるのは、今まで担保・保証を必ず求められて
いた融資が「事業性評価」になるのか?という部分です。

自由度が高くなれば「事業性評価」を積極的に行う銀行も
出てくるでしょう。
そうなるという予想が新聞には書かれてあります。

しかし、それも最初だけかもしれません。
この後3年程度経てば、事業性評価は難易度が高い、と判断する
可能性もあります。

なので、ここは情報のキャッチアップが必須です。

まとめ

銀行の動向は経営にも大きな影響があります。
個人的には無借金経営がベストだとは考えていませんので
金融機関は経営にとって大切なステークホルダーと
感じています。

今後も大きな動きがあると予想されるので金融機関の
状況は把握しておきたいところです。