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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆

厳しい時ほど要求が来る

ビジネスの産業構造はやはり厳しいものがあるなと
感じることがあります。
1週間ほど前の記事になりますがある自動車メーカーが
部品会社に値下げを要請したというニュースが流れて
おりました。

厳しい時ほど強い要請が来るとのは致し方ありません
が、部品会社の経営者にとっては辛い現実です。

断れない事情があるのでしょう。
もしくは断れないほど自動車メーカーの売り上げに依存
しているということになります。

お客様の要請に応えなければ外されてしまう、売り上
げがなくなってしまう現実があるので厳しい時ほど要
求には断れないのです。

景気が良いから値下げ要請をしない

実は景気が良いときには、
今年は部品会社に値下げの要請をしません
と報道されていたのを思い出しました。

要するに景気が良いときは値下げの要請がゼロになる
だけなので、永遠に値上げをする事はできないのです。

不景気になればなるほど値下げの要請は大きくなり逃
げ道がありません。
いわゆる選択肢のない経営。

工夫改善をしながらコストを下げる努力をして利益を
確保するしか道はありません。
コストダウンできる企業だけがこうした系列では生き
残ることができるのです。

運転

製造業はコストとの戦い

製造業を見ているとコストとの戦いになっています。
特に下請け構造にある製造業においてはコストを下げる
ことによってしか利益は得られません。
売値はコントロールできないのです。

そもそも売値はコントロールできないと諦めてコスト
ダウンだけで利益を稼いでいる製造業の企業が優秀と
されています。

ちなみにそのような企業の仕入れに対する厳しさは
半端ではありません。

利は元にあり」と言いますが、仕入れ値を下げるこ
とによって利益を確保することが大きな手段の1つに
なっています。

力の関係性が移動した

買うほうが強い、という時代に変わりました。
去年もしくは一昨年を思い出すと、ある部品の納期
待ちが6ヶ月でした。

生産量を増やすわけでもなく納期だけが伸びていた
のです。

製造業は生産量を増やすには投資が必要なので安易に
設備投資はできません。

そのため納期を伸ばして待っていただいていたのです。
今はその納期待ちもなくなり今度は部品そのものの値
段が下がっていくことでしょう。

買う側が強くなるからです。
主役が交代した、もしくは攻めと守りが交代したような
状態です。

企業の経営は力の勝負によって采配が決まります。
ファイブフォースという分析の手法が一斉を風靡した
時代もあります。

どちらの力が強い、どこの力が強いかを見極める。
そうすれば、業界の流れや次の動向がわかり、予測が
つくのです。
力の見極めは経営には欠かすことができません。

まとめ

自動車産業が変わりつつあるのはビジネスモデルの
限界がきているからです。

設計開発して製造して販売する。
そのビジネスモデルに、収益源が限定されつつあるの
です。
自動車メーカーは大型のクルマか高級車が売れなけれ
ば収益が上がりません。
その構造から抜け出せないのです。

米国ではピックアップトラックが売れること。
日本ではSUVなどが売れることです。

しかし、この構造から抜け出した自動車メーカーが
あらわれました。
米国のテスラです。

電気自動車専門メーカー。
収益の構造が今までの自動車メーカーとは違います。
実はソフトウェアでも稼いでいます。

たとえば、オプションで自動運転のソフトウェアを
80万円程度で販売しています。

ソフトウェアなので、そのまま収益に直結します。
300〜400万円の自動車に80万円のソフトウェアを
追加しているのです。

ソフトウェアは開発費のみでコストはかかりません。
またアップデートすることで継続収入も可能です。

ここに既存メーカーはまだ追随していません。
差が出ています。
まさかソフトウェアで収益を稼ぐとは自動車メーカー
は思ってもみなかったでしょう。

構造的に収益が上がらなくなった業界にはこうした
新たな収益源がカギになります。

しかし、新たな収益源を生み出すのは新しく参入する
企業であることが歴史が証明しています。