fjconsultants Blog:4,510投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆

出版社が流通へ進出

出版大手の講談社、集英社、小学館が流通分野に進出します。
書籍・雑誌の業界は「出版社→取次店→書店」という流通が固定でした。
それぞれの専門性に特化していたのです。
取次店は「日販」「トーハン」の大手2社がシェアを占めておりシェア率は両社だけで7割以上と言われています。
流通を担っていたのです。
そのため出版社は数人の出版社でも全国に書籍を流通させること、販売することが可能だったのです。

講談社、集英社、小学館が出版流通に進出

https://ledge.ai/kodansha-shueisha-shogakukan/

では、なぜここにきて大手出版社が流通に進出するのでしょうか。

課題解決するために進出

出版社から見て流通には課題があったので自らその課題を解決するために進出。
業界では「再販制度」が確立しており出版社から取次店に出した書籍の約4割が返本されます。
この返本の率を下げるための策が今回は提示されています。

通常取次店では、書店からの注文で書籍を届けている割合が100%ではありません。
中には、取次店の裁量で配本(冊数)を決めていることがあるのです。
出版社が100%完全にコントロールできる領域でもなく、書店もコントロールできていない。
そんな状態なのです。

解決策はICタグ

今回、講談社、集英社、小学館が流通のパートナーに選んだのは商社の丸紅。
取次店は丸紅に流通分野の仕事をスイッチングされたことになります。
大きな岩が動いた、と表現してもいいでしょう。

課題解決のポイントは、人工知能AI活用とICタグ(RFIDタグ)です。
書籍1冊ごとにICタグを付ける。
そのICタグによって管理する。
在庫の完全把握がICタグによって花王になります。
棚卸し業務も軽減可能。
書店では万引き対策にもなります。
人工知能AIは、配本の精度を高めることができ返本が減少するはずです。

まとめ

今回の大手出版社の流通分野への進出は、課題となっていた返本率について改善ができなかったのが原因。
その課題を人工知能やICタグというテクノロジーが解決できるようになったので発生したできごとです。
業界のとっては衝撃的な動き。
今後、取次店も含めて大きくビジネスモデル自体が変化していく業界です。
書籍の売り上げは2020年から増えており出版社も勢いがあるのを感じます。