fjconsultants Blog:4,618投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆

調査・アンケートのわな

顧客にアンケートをお願いする。
顧客調査に費用と時間をかける。
こうした顧客リサーチの結果は重視すべき内容です。
しかし、調査結果がすべてなのでしょうか。

ときには、調査結果と真逆な購買結果になることもあり、そこは《顧客リサーチのわな》と呼ばれています。
しっかりと調査したのに販売してみると売れなかった。
なぜか前評判は良くなかったが、売り出すといきなり売れてしまった。
予想通りに結果が出ないのが経営ではありますが、その中でも調査・リサーチについては慎重さも必要です。

事例:嫌いだけど買う

調査結果と購買結果のズレは、どのような事例があるのでしょうか。
たとえば、
「・・・の商品は好きではない」「・・・は嫌い」
と顧客はアンケートに答えるのだが、実際には購入しているという事例があります。

海外事例になりますが、中国消費者のアンケートでは、「日本車は嫌い」という結果が出ていました。
しかし、ディーラーに行けば日本車は売れている。
実際には購入していたのです。

『マーケティング・リサーチのわな
― 嫌いだけれど買う人たちの研究 ―』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/marketing/39/4/39_2020.025/_pdf/-char/ja

上記の事例を見るとわかりますが、「嫌い」と返答するのは、人から見られている領域(アンケートの返答)。
人に見られるところで、好きとは言えない雰囲気が出てしまうことがあるのです。
本音を見せられない状態です。
そんなときは、リサーチ結果と販売結果で真逆の結果が出てしまうのです。

ここがある意味リサーチの限界なのかもしれません。

売れそうだが売れない

上記事例の逆の結果もあります。
販売前にバイヤーさんに紹介したところ評価が高い。
売れるはずと在庫を積み上げたら、残ってしまった。
継続した販売につながらなかったケースです。

バイヤーさんへのリサーチをそのまま鵜呑みにしたら結果が違ったのです。

まとめ

リサーチは常に進化しています。
単なる質問形式のアンケートでは、誘導や限界があることを知っておくべきでしょう。

では、有効な方法はあるのか。
それは、顧客の行動観察です。
調査していると知らされていない状態で、どのような行動をしているのか。
無意識に出てしまう行動から判断する方法です。

この観察データは分析によって有効なのです。
見られていると意識していないときの行動は本音です。
本当に欲しいと感じているか、購入すべきか検討していたり。
人が何を手に取って見ているのか。
それが調査できる場所が現場やオンライン上にあると結果を予想しやすいのです。
その原則を知っておくと精度は高くなるのです。