ロックイン効果

経済用語の中にロックイン効果という用語があります。
意味は

消費者があるメーカーの商品を購入した場合に、商品を買い換える場合にも引き続いて同じメーカーの商品を購入するようになり顧客との関係が維持される効果

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E5%8A%B9%E6%9E%9C

のことで、他のメーカーの商品に乗り換える労力が大きい場合に発生します。
よくある事例としては『消耗品モデル』と呼ばれるビジネスモデルがロックイン効果を利用しています。
ネスレが販売しているコーヒーメーカーは専用カートリッジ式なのでネスレのコーヒー豆を買い続けることになります。
他にも同様なビジネスモデルとしては男性用髭剃りT字カミソリがあります。
メーカーとしては、ジレット、シック、貝印が有名です。
T字カミソリも同じメーカーの専用替え刃を買い続けるのが特徴です。

システムではベンダーロックイン

企業ではシステムを導入するのが当たり前になっていますが、使い始めると他のメーカーのシステムに変更することがなかなかできません。
これを、ベンダーロックインと呼んでいます。
具体的な意味は下記になります。

ベンダーロックインvender lock-inとは
特定ベンダー(メーカー)の独自技術に大きく依存した製品、サービス、システム等を採用した際に、他ベンダーの提供する同種の製品、サービス、システム等への乗り換えが困難になる現象のこと。ベンダーロックインに陥った場合、製品、サービス、システム等を調達する際の選択肢が狭められる。価格が高騰してもユーザーはそれを買わざるを得ないため、コストが増大するケースが多い。また、市場の競争による恩恵を十分に受けられない可能性もある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3

公正取引委員会の実態調査

このベンダーロックインが話題になっています。
導入したシステムについて、導入企業しかメンテナンスできない状況があるからです。
他社の参加を難しくする行為を導入企業がしているならば、独占禁止法に違反するおそれがあるという内容の報告書を公正取引委員会が出しました。
特に官公庁に導入されているシステムがベンダーロックインにより他社の参入ができないことが問題なようです。

(令和4年2月8日)官公庁における情報システム調達に関する実態調査について

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/feb/220208_system.html

下記調査結果は興味深い内容です。
オープンソース化している情報システムがある官公庁は4.7%しかありません。
68%がオープンソース化している情報システムが一切ないと答えています。
残りの27%は「わからない」と答えており問題の深刻さを感じます。

オープンソース化についてアンケート結果

1億円削減

成功事例があります。
船橋市では複数の企業から見積もりを取り、不要な工程を削除。
担当課の要求額から1億円削減したそうです。
この1億円は5%削減にあたります。
要求額は20億円あまり。
その5%が不要だったことになります。

千葉県船橋市では、情報システム課の職員がITコンサルティング会社と連携し、事業者の見積もりに改善点がないか事前に検証しています。その結果、今年度の予算では、複数の会社から見積もりをとったうえで必要ない工程を指摘するなどして、担当課の要求額から、1億円、率にして5%を削減したということです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220208/k10013473321000.html

まとめ

システム会社からすれば他社にスイッチングされないようにするのは当たり前でした。
これが独占禁止法に違反するおそれがあると公正取引委員会に言われるのは心外かもしれません。
しかし、自由競争の原則から競争を阻害する要因となれば今後は他社のシステムと連携させるしかありません。
これも時代の流れ、変容です。
受け入れながら次のステップへと駆け上がるしかありません。

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ビジネスリーダーのためのWeb Magazine ファースト・ジャッジ:4,777投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆