不適切行為件数

三菱電機の不適切行為について報告がありました。
・当社における品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(第 3 報)
です。調査事項が2,303件あり、そのうち8割の1,933件の調査を終えた段階での報告です。結論から言えば、新たに不適切行為が発覚しています。15拠点101件の不正が新しく発覚したのです。下記に公表される度に発覚した不適切行為件数が掲載されています。18件→29件→101けんと公表される度に増加しているのがわかります。

品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(第 3 報)

不適切行為の内容

不適切行為の内容は様々ですが、下記に一例をあげておきます。シーケンス試験が未完了にもかかわらず試験を実施したと虚偽の記載をした事例です。未完了を実施済みと顧客に報告していたのです。こんなことが発生するのか?と感じますが、組織はこんなことさえ発生させてしまうのです。見えない圧力がかかっていたり、複数の人で責任を取ったり、上司のダイレクトな圧力が加わって発生してしまうのです。

シーケンス試験とは、機器が設計図面に基づいて動作するかを確認する試験である。神戸製作所は、2020 年に特定顧客から受注した水処理施設の電気設備工事案件 2 件の立会試験において、2021 年 2 月及び 3 月頃、コントローラー又は補助継電器盤に対するシーケンス試験が完了していなかったにもかかわらず、試験成績書には、シーケンス試験を実施したとの虚偽の記載をして、顧客に提出していた。この不正は、個別の契約条件によっては、契約違反を構成する可能性がある。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2022/pdf/0525-b2.pdf

正当化していた

あまりにもシンプルな不適切行為ばかりで、なぜこのようなことが起こっていたのか不思議ですが、当人らは自分たちを納得させる言い分もあったのです。それは下記の言葉だと感じます。

「品質に実質的に問題がなければよい」という正当化

https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2022/pdf/0525-b2.pdf

品質に問題がなければいいのではないか。試験や検査をしなくても問題ない。過去に出した製品も問題が発生していない。このままでいいのではないか、と正当化するしかなかったのでしょう。

ミドル・マネジメントの脆弱性

他にもミドル・マネジメント(主に課長クラスなど)の脆弱性についても言及されています。ミドル・マネジメントの役割が果たされていなかった。機能していなかったと結論づけています。現在、大企業ほどミドル・マネジメントの見直しをしています。機能していないので不要ではないかと議論されているのです。この報告書を見てもミドル・マネジメントの必要性は限りなくゼロに近くなったと感じます。

まとめ

こうした報告書は経営層、リーダー層の方は読むべきだと感じます。というのも自分の組織でも発生する可能性があるからです。不適切行為は個人の問題ではなく組織の問題。これだけ多数の不適切行為が発生していたのを見るとそのように感じます。

当社品質不適切事案へのお詫びと対応について

https://www.mitsubishielectric.co.jp/reform/

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ビジネスリーダーのためのWeb Magazine ファースト・ジャッジ:4,883投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆