波紋が起きた

ビール業界が長らく続いていた静かな時期を終えたのかもしれません。再び波立つ時期になったのでしょうか。その火付け役となったのは、日本の老舗ブランド、サントリー。その波紋とは、ビールの店頭想定価格を10円引き下げ。これ、ビール業界にとっては大きな一手になったようです。

3位なので積極的に

価格改定の結果、サントリーの売り上げは好調となり、ビール市場での競争力を一層増しています。また、この価格下げは近い将来に見込まれるビール税の減税を見越した戦略的な行動でもありました。これにより、ビール業界全体が揺れ動いているようです。

このサントリーの意欲的な動きに対し、他のビールメーカーは当然のことながら神経を尖らせているでしょう。しかし、サントリーからは強気の声明が出ています。
「我々は3位だからこそ、積極的に攻めていかなければならない。」
この考えから、他社とは一線を画した手を打ってきたのです。

ひとり幕を開けた

実は、このサントリーの新製品発売について、事前に一切の情報を漏らしませんでした。突如として新製品が店頭に並んだのです。一方、他のビールメーカーは値上げを計画している時期でした。ビール業界全体が値上げを目指そうという暗黙の共通認識があった中で、サントリーだけが反対方向に動いたことは、驚き。まさに、ひとりだけ安売り戦略の幕を開けてしまったようです。

価格優先に

ビール市場は価格の影響を大きく受けます。価格が安ければ安いほど、消費者はそのビールを選んでしまいます。味の違いは存在します。しかし、それだけでは決まらないのです。価格が安ければ価格優先で決定されていくのです。

今後のビール業界で注目すべきは、他社がサントリーの価格戦略にどう反応するかです。価格を下げるのか、あるいは他の戦略を模索するのか。その判断が各社の経営陣に問われています。サントリーが独り勝ちする局面が見えてきたならば、他社も価格を下げてくるでしょう。

まとめ

協調か競争か。これは結論が出ています。自由市場を維持するならば自由競争しかありません。その他の選択はないのです。自由な市場を健全に維持するならばそれしかないのです。それ以外は統制された市場になってしまうからです。統制されて市場は価格も統制され、供給も統制されるので歪みが生じます。行き着くところまで行き、最後には市場が硬直します。なので、協調から競争は、ある意味自然な姿だと感じます。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆