物流業界の課題と変革

物流業界は、経済の成長と共に増大するニーズに対応すべく日々変革を迫られています。しかし、ドライバー不足や積載率の低下、労働環境改善といった問題に直面し、それに対応するための具体的な解決策が求められており、2024年からはその問題に直面します。今回は、これらの課題解決に取り組む企業にスポットを当て、物流業界がどのように変革を遂げているかを探ります。

物流業界の課題:何が問題なのか?

物流業界は、ドライバー不足、積載率の向上、労働時間の適正化、輸送品質の向上、環境負荷の低減、物流の利便性向上といった複雑な課題に立ち向かっています。問題山積み。かなり深刻です。

挑戦と変革への道

日野自動車株式会社から独立したNEXT Logistics Japan株式会社という企業があります。物流業界のこれらの課題解決に真剣に取り組んでいる企業のひとつです。

同社は、幹線輸送の効率化と省人化を目指し、新しい運送スキームの運用を行っています。具体的には、ダブル連結トラックの積極的な運用や積載率の向上を目指した実証実験を進行中です。また、物流の安全性向上のため、ドライバー、車両、荷物情報の高度な連携と活用を行い、ドライバーの健康状態や疲労度をリアルタイムで分析しています。

さらに、先進技術の活用も同社の取り組みの一部です。電動化、自動化、コネクティッド技術などを組み合わせた物流ソリューションの開発を推進しています。その一環として、燃料電池大型トラックの走行実証や、自動運転フォークリフトと自律走行搬送ロボットの連携による荷積み・荷下ろしの自動化についての実証実験を進めています。

物流業界の未来と新たな物流のかたち

NEXT Logistics Japan株式会社のこれらの取り組みは、物流業界が直面する課題を解決し、業界全体の生産性と効率性を向上させる可能性を秘めています。そして、これらの施策は業界全体にとって新たな物流のかたちになるでしょう。

現在この企業には多数の企業が参加しています。株主構成を見るとわかりますが、株主が20社。そのほかに、パートナー企業もあり、課題解決への期待が高いことを示しています。

株主:20社
アサヒグループジャパン株式会社
江崎グリコ株式会社
株式会社ギオン
株式会社キユーソー流通システム
鴻池運輸株式会社
澁澤倉庫株式会社
鈴与株式会社
住友ゴム工業株式会社
摂津倉庫株式会社
千代田運輸株式会社
トランコム株式会社
株式会社ニチレイロジグループ本社
日清食品ホールディングス株式会社
日本梱包運輸倉庫株式会社
日本製紙物流株式会社
日野自動車株式会社
株式会社ブリヂストン
三菱HCキャピタル株式会社
株式会社三菱UFJ銀行
株式会社ユーネットランス
※五十音順

https://www.next-logistics-jp.jp/company/

でも

しかし物流問題に関しては、とある企業がこの事態を見込んでいるかのごとく準備をしてきました。米国企業Amazonです。EC企業では唯一、自社配送網を構築しています。この戦略を選択したことでAmazonの差別化は完成されています。

唯一の経営判断

ここで考えたいのは、宅配業界が成立している時代に自社配送網を構築するという選択ができるか、ということ。普通ならそんな決断はしない。当時はクレイジーな判断と見なされていたはず。EC企業を運営しながら宅配運送企業も同時に経営しているようなものだから。そんな無謀なことは選択できないのが普通です。しかし、Amazonは自社配送網に取り組み成し遂げてしまった。

初期段階の経営判断で企業運命が決まってひまっていたと思わせるエピソードです。その一瞬のために経営者は全人生を賭けているのかもしれません。

まとめ

物流に関しては構築するのに年単位の時間がかかります。そのため構築してしまった企業の優位性は高く、参入障壁が高い。このことからわかることは、時間がかかることを初期の段階で決断できることが経営者の実力といえるのかもしれません。おそらく周りは反対していたでしょう。しかし、判断や決断に確信があったはずです。その確信が持てるまで追求することが真の実力を養っていきます。答えが出ないところを追求する持続力です。この部分の粘り強さがほしいところです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆