努力するが

価格上昇が続いていますが、企業もさまざまな努力で価格を維持しようとしています。しかし限界はあります。そんな中で、下記2つの手法で価格据え置きを目指す場合があります。それは
1)容量縮小
2)サービスや質の低下
です。もともとこのような手法は用いられてきました。しかし、平常時に行うと1社だけ集中的に取り上げられてしまうので選択するケースは少なかったのです。しかし、今では当たり前になっています。

シュリンクとスキンプ

1)容量縮小に関しては食品がわかりやすいでしょうか。中身の容量が減少していることがあるからです。以前からステルス値上げと呼ばれ、内容量を監視する人たちもいるくらいです。最近では容量縮小で価格据え置くことを「シュリンク フレーション」と呼んでいます。常態化しているような気がします。あまりにも容量縮小する製品が多いので、消費者も受け入れてしまったようです。

2)サービス・質の低下については、接客を受けたときに感じるのではないでしょうか。外食産業では配膳ロボットが導入されたり、セルフの部分が増えたりしています。高級店では、「味が落ちた」と評価されてしまうケースもあります。これは2009年ごろのリーマンショック後も同じようなことが発生していました。明らかに味が違うのを感じたのを今でも覚えています。このようなサービスの質低下で価格上昇を抑えることを「スキンプ フレーション」と呼んでいます。スキンプとは、「手抜き」「節約する」「ケチる」といった意味の言葉です。

このような手法はあくまで最終手段です。実行すれば顧客が離れるリスクは大きく、最後まで悩む決断です。

消費行動は同じパターンへ

値上げが続くと精神的なダメージが大きいです。購入意欲が減退するのです。欲しい製品があっても躊躇してしまうのです。この消費減退サイクルに入ると消費者は同じパターンに陥ります。
①耐久消費財買い控え
②必需品を優先し、嗜好品(裁量品)は控える
③PBを選ぶ消費者増加
④家食(中食)優先、ディスカウントストア優先
といったパターンです。振り返ると思い当たる行動があるのではないでしょうか。無駄を省こうと考えたり、代替品で納得したり、少しでも出費を抑える方へと思考が進むことになるのです。

購買力の低下 →消費の平準化が起こる(下記4つ)
①消費に関係する時間の平準化。耐久消費財の買い控えなどが挙げられる。
②買い物カテゴリー間の平準化だ。裁量品の購入を控え、必需品を優先する。
③カテゴリー内での平準化だ。インフレ下では、メーカーのナショナルブランド(NB)よりもプライベートブランド(PB)を選ぶ消費者が増える。
④チャネル間の平準化である。外食よりも家食、スーパーマーケットよりもディスカウントストアなど、同じモノやサービスを消費する際にも、消費者は出費が抑えられるチャネルを選択する。

インフレ下の小売り 自社の強み生かす王道を:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74478270V10C23A9KE8000/

まとめ

7月から消費の動きが予想より少し違った方向へと動いています。上記のような心理がはたらいているのでしょう。こうした消費者心理を理解して戦略を計画しなければ大きく外すことになります。神経質な時期がやってきたと感じます。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆