頑張らなくてもいい理由

力が入りすぎると結果が出ない一方、力まない場合は発揮できるという現象は、心理学やスポーツの分野でもよく見られるものです。最近は「力まない」ようにするためにあえてリーダーや監督が「頑張るな」とメッセージを伝えるようになっています。たしかに、「頑張れ」と伝えてしまうと余分な力が入ってしまい、思うような結果が出ないものです。これはビジネスでも同様だと考えています。「頑張ります」と返答する人には「頑張らなくてもいい」と伝えるようになりました。頑張ることと、結果が連動しないケースがあるからです。

マイナス点

力が入りすぎるマイナス点をここで考えてみます。

力が入りすぎると緊張が高まり、思考や身体の動きに制約が生じます。適度な緊張はパフォーマンスを向上させる要素ですが、過度な緊張は逆効果になります。過剰な力が入ることで、集中力が散漫になり、状況に柔軟に対応することができなくなります。

商談やクロージングの場面を思い浮かべてください。緊張感が出過ぎると、余計なことまで言ってしまったり、単なる自分のパフォーマンスをお客様に見せつけて終わりになってしまいます。空回りしてしまうのです。見ているお客様の方は冷静なので、力みすぎているのをすぐに感じてしまいます。これでは成立するはずの商談も成立しません。

一方、力まない場合は、心地よいリラックス状態や流れに身を任せることで、素直な表現や最適な行動が引き出されることがあります。この状態を「フロー」とも呼びます。フローとは、自身の能力と課題の難易度がほぼ一致している状態を指し、自然体で活動することができるため、創造性や成果の向上につながるとされています。商談においてもスムーズな契約まで流れていきます。お客様もストレスなく進んでいくので快適な状態になっています。

どうやったら

「力を抜けと言われても力が入ってしまうものです。それを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。」と質問されたことを思い出しました。

力を抜くことは、簡単なことではありません。特にプレッシャーやストレスがある状況では、力んでしまうことがよくあります。わたしもそうでした。しかし、以下のいくつかの方法を試してみることで、力んでしまうことを防ぐことができるでしょう。

  1. 深呼吸をする
    力んでしまうときは、まず深呼吸をすることから始めてみる。ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと息を吐き出すことで、リラックス効果が得られます。
  2. マインドフルネス
    マインドフルネス瞑想や瞑想的な活動を取り入れることで、意識的に自分自身とつながり、現在の瞬間に集中することができます。これにより、力みを取り除くことができるでしょう。特にプレッシャーを感じているとき、ストレスを感じるときは効果的。どんなに忙しくても5分間の瞑想は必須だと感じます。
  3. 体をほぐす
    緊張した状態では力みやすくなりますので、身体をほぐすことが大切です。ストレッチやウォーキング、ヨガなどの運動を行うと、体の緊張をほぐすことができます。特に歩くことの効果は大きい。解決できないことがある場合はとにかく歩く、と決めておいてもいいでしょう。

仮体験しておくことは有効

仮体験することは、実際の状況に直面する前に事前準備をするために非常に有効な方法です。想像力を使って、将来の出来事や状況を思い描くことで、自信を持って臨むことができます。

具体的な例として、プレゼンテーションや公演などの場面を考えてみましょう。本番前にしっかりと練習することはもちろん重要ですが、同時に頭の中でシミュレーションすることも効果的です。自分がどのように話を進めるのか、反応や質問があった場合にどう対応するのかをイメージすることで、リアルな状況に対する対応力を高めることができます。どのような反応や質問があるのか、何パターンか想定することがここではポイントです。参加者を想定しながら、シミュレーションをし、パターン数を増やすことが成長へとつながります。

まとめ

「力が入りすぎると結果は出ないが、力まない場合は発揮できる、成果につながる」という経験は誰しもが持っているのではないでしょうか。ただ、再現性が低く、いつもリラックスして力まない状態で取り組めるわけではありません。そのため、再現性を高めるトレーニングは日頃からしておいてもいいのではないでしょうか。単に考え過ぎであったり、極度のプレッシャーがかかると潰れてしまう可能性もあるので、適度なリラックス法を身につけておくことはストレス耐性の強化にもつながります。ストレス耐性がビジネスパーソンの必須条件と言われた時代もありましたが、最近では言わなくなりました。しかし、ストレスは避けようがありませんので、対処法を身につけておくのも有益だと感じます。

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