ギャップがある
東京証券取引所が公開した資料があります(『東証が指摘した投資者の目線とギャップのある主な事例』)。上場会社が公開しているIR資料の内容が投資者の求める内容とギャップがあると指摘しているのです。これは上場会社だけの問題として考えるのではなく、広く法人に当てはまる内容だと感じます。
主な内容は下記になります。
『東証が指摘した投資者の目線とギャップのある主な事例』
- 現状分析、評価が表面的な内容にとどまる
- 取組みを並べるだけの開示となっている
- 合理的な理由もなく、対話に応じない
- 現状分析が投資者の目線とズレている
- 課題の分析や追加的な対応の検討を機動的に行わない
- 不採算事業の縮小
- 撤退の検討が十分に行われていない
率直な意見
上場会社は外部に投資者がいるため、経営の内容を公開する義務があります。しかし、公開する内容については、企業によって差があるのは事実です。同じ業界の他者がいるため、思い切った開示ができないケースもあるからです。しかし、その点が投資者にとっては不満なのでしょう。具体的な投資者からの意見としては次のような内容が上がっています。
- 経営層の危機感が弱い
- あまりに先の期限が設定されていると経営者が本気で実現したいと考えているのか疑問を感じてしまう
- 進捗状況の数値の提示にとどまっており、計画どおりに進捗していないものの、改善に向けた対応が示されていない
- 会社⾃⾝の言葉で説明することが期待される
- ⽇本は、既存の事業をやめられない企業が多いが、収益性が資本コストを継続的に下回っており、改善する⾒込みもないのに、縮⼩・撤退しないという判断は説得⼒が無い
「資本コストや株価を意識した経営」に関する「投資者の目線とギャップのある事例」等の公表について
https://www.jpx.co.jp/news/1020/20241121-01.html
パブリックカンパニー
投資者の意見がすべて正しいとは思いません。しかし、外部の投資者の視点は受け入れるべき内容だと感じます。上場会社は「パブリックカンパニー」と呼ばれています。プライベートカンパニーではなく、パブリックカンパニーとして見られているので、自分の言葉で説明する責任が問われるのです。これは、上場会社だけに限らず、経営の場面では同じことが問われます。社内、社外と利害関係者(ステークホルダー)がいるので、経営の状況を説明しなければ取引もできないのです。
まとめ
経営は隠しごとができない、と言われています。その傾向は強くなっています。情報の拡散も速く、隠そうと思っても隠せないのが実情です。それならば、透明性のある経営の方がいいのではないかと思います。社内のリーダーも透明性のある経営の方が、エネルギーが出てくるでしょう。充実感もやりがいも「透明性」がベースにあるから発生するのです。それを「安心感」と呼ぶのかもしれません。考えさせられる内容です。
(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)
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