災害債拡大が映す不確実性

「大災害債(カタストロフィー・ボンド)」と呼ばれる金融商品の発行が世界で増加しています。大災害債とは、大規模な自然災害が発生した際に、損害保険会社が被る損失を投資家に転嫁する仕組みの債券です。災害が起きなければ投資家は高い利回りを得られますが、起きれば元本が毀損される内容です。リスクの高い金融商品です。

では、なぜ増えているのでしょうか。個人的な見解ですが、
・損害保険の従来の計算式が成り立たなくなっている
のでは、と感じています。

保険は、過去のデータをもとにリスクを確率で算定し、保険料を設定するビジネスのはず。しかし、気候変動による自然災害の頻発化は、過去のデータでは予測しきれない領域に入っているのでしょう。

「過去の延長線」では測れないリスク

損保業界が直面している問題は、他人ごとではありません。保険の計算式が成り立たないということは、リスクを「過去の実績」から予測するアプローチそのものが限界を迎えているという解釈も成り立つからです。これは自然災害に限った話ではありません。
・地政学的リスク
・サプライチェーンの断絶
・AIによる産業構造の崩壊
など、予測を超える内容が実際に発生しています。取り巻く不確実性は、あらゆる領域で高まっている時期に来ているのでしょう。

経営計画を立てる際も、過去の延長線で未来を想像すること自体がリスクになりかもしれないのです。そんなことを感じました。

不確実性を前提として

こんなときはどうすればよいのか。
・予測の精度を上げたい
と感じるはずです。シミュレーションの数も増やしたり、情報収集もいつもより拡大しなければなりません。ただ、限界があるのであれば
・「想定外に耐えられる体制をつくる」
ことに比重を置くこともポイントになります。損保業界が大災害債という手段を取り入れたように、リスクの分散先や対応手段を複数考える時期だと考えておきたいです。

まとめ

損保の世界で起きていることは、あらゆる業種の経営に通じる問いを投げかけていると考えています。過去の延長線上に未来を描けない時代に、どれだけ「想定外」に耐えられるようにしておくのか。そこも欠かせない部分だと感じます。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆