消費者行動の変化:買い控え
今回取り上げる現象について、ひと言で表現すれば「消費者行動の変化」です。取り上げるのは、スマートフォンの市場。この市場では、最近、消費者の「買い控え」が見られています。その理由の一つは、価格の高騰です。ここ数年でスマートフォンの価格は急速に上昇しています。それが顕著に表れているのが最新モデルの価格。その高価格が、消費者にとって大きなハードルとなり、新しいスマートフォンの購入をためらわせる要因になっています。躊躇させるだけの価格帯になっているのです。2022年度の携帯出荷台数は過去2番目の少なさでした。
どの製品群か
経済的な不安定さが続く中、値上がりという要素は、消費者に出費を控えさせています。それがスマートフォンの購入に影響を及ぼしているのです。顕著に影響が出てきた製品群のひとつです。買い控えができる製品とも解釈できるでしょう。必需品ではあるが、買い替え先延ばしができる製品群のひとつです。自動車と動きが似ています。買い替えサイクルが長くなる傾向にあるのです。
これもサイクル長期化
次に取り上げるのは、ノートパソコン市場。この市場でも消費者の買い替えサイクルが長期化しています。一部のユーザーは、新機種への乗り換えを遅らせ、現在の機種をより長く使用しようとしているようです。これは、新製品の価格上昇だけでなく、現在所有している製品の性能がまだ充分であると感じているからかもしれません。Appleは戦略を間違えたと感じているでしょう。自社製のCPU(M1)が高スペック過ぎて、買い替え欲求が発生しないのです。いきなりハイスペックなCPUをリリースしたことで、かえって買い替えサイクルが長期化しています。そう考えるとインテルのCPUは徐々にスペックを上げつつ持続的販売をしたことになります。
今後は
では、この現状は今後も続くのでしょうか。それについて経済環境から考察すると、答えは「おそらくはそうなるはず」です。現在、経済は不確実な状況にあります。それは、物価の上昇や賃金の停滞、雇用の不安定性など、さまざまな要因によるものです。このような状況下では、消費者は出費を抑制し、節約を優先させる傾向にあります。それは、スマートフォンやノートパソコンといった高価な商品に対する購入意欲にも影響を及ぼすでしょう。ノートパソコンは在宅勤務、テレワークの特需が去って需要が落ち着いてしまっているのも原因のひとつです。中古市場を見ると以前の価格帯に戻っています。
まとめ
このように、経済環境は消費者行動に直接影響を与え、それが製品の販売にも影響を及ぼします。したがって、今後もスマホやノートパソコンの市場における現状は続きそうです。消費者行動の変化とその背景を理解することは、製品の販売戦略を考える上で非常に重要な要素となるでしょう。今後の動向も注目です。
昨年度の携帯出荷台数、過去2番目の少なさ 〜値上がりで買い控え
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71643720V00C23A6TEB000/
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆