企業文化を残すために必要なこと
個人的な見解ですが、「口頭だけでは文化は残らない」と考えています。そこには、歴史に対する解釈がベースにあります。歴史を振り返ると、気づくはずです。口頭だけで知識や文化を伝えていた文明の多くは、やがて廃れました。一方、文字を持ち、記録を残した文明は、時代を超えて受け継がれています。文明が数千年後まで影響を与えているのは、文字として記録が残っているからにほかなりません。そして、ルールが組織に伝わったからです。口伝えの文化は、伝える人がいなくなった瞬間に途絶えますし、ルールが統一されず、いつまで経ってもひとつのコミュニティにならないのです。
この原則は、企業文化にもそのまま当てはまるのではないでしょうか。企業では、仕事の進め方も、お客様への姿勢も、判断の基準も、口頭で伝えられていることがあります。経営者やリーダー、そしてベテランスタッフの言葉として語り継がれてはいるものの、文字にはなっていないケースがあるのです。人が入れ替わり、時間が経てば、少しずつ変質し、やがて消えていく。10年も経てば忘れられるでしょう。消えるのはあっという間です。会社の文化を継続的に残すなら、口頭文化から文字文化へ移行するしかないのではないでしょうか。そう考えています。
口頭は「その人の解釈」が入り込む
「うちの会社はこういう考え方でやっている」と社長が朝礼で話す。リーダーが会食の場でスタッフに伝える。これらは大切なコミュニケーションですが、口頭で伝えた瞬間から、聞き手の解釈が入ります。10人が聞けば10通りの理解が生まれ、それぞれがまた別の人に伝えるたびにニュアンスが変わっていく。伝言ゲームと同じです。アレンジされていくプロセスになってしまいます。
経営理念や行動指針は文字として明文化されている状態なので、解釈が入り込む余地が少ない。そのため、組織の一体感がまるで違います。文字にすることで初めて、「これがわたしたちの基準だ」と全員が同じものを見て確認できるようになるわけです。
・口頭は「共感」を生みますが、文字は「共通認識」を生む
のです。組織が大きくなるほど、この違いは決定的だと感じています。
文字にすることは「考えること」
文字化のもうひとつの価値は、書く過程で思考が整理されるということ。「大切にしていること」を文字にしようとすると、意外なほど言葉に詰まります。なんとなくわかっているつもりだったことが、実は、あいまいだったと気づく。そのあいまいさを放置したまま口頭で伝え続けていたのだとしたら、果たしてそれは本当に「伝わっていた」と言えるでしょうか。
まとめ
口頭文化の文明が廃れ、文字文化の文明だけが残った。この歴史の教訓を活かすなら、やはり文字として文化を残してほしいと願います。そうでなければ時間とともに忘れられることになります。文字にして初めて、時間を超えて伝わるものになるのです。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆
