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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆
価格が上がる契約を結んでいる企業がある
モノを販売するのが商売でありビジネス。
継続的に購入していただくときには、価格は下がり続けることが
普通になっている。
毎年購入していただく顧客から値下げの要請があるからだ。
数%の値下げが繰り返される。
ある自動車メーカーが不景気のときに「今年は値下げ交渉しません」と
公表していることがありました。
値下げ要求は話題にもなりませんが、値下げしないことは自慢になるの
かもしれません。
この、毎年販売価格が下がり続けることだけがビジネスではありません。
中には同じような状況、環境で価格を段々と値上げしている企業も
あるのです。
そんな企業を取り上げてみたいと思います。
価格は需要と供給の関係性で決まる
価格はあくまでも弾力性があるもので不変的なものではありません。
需要と供給のバランスで決定されているだけです。
【需要>供給】になれば価格は上がり、
【需要<供給】になれば価格は下がるだけ。
価格が変動しない時は【需要=供給】になっているだけです。
環境変化を敏感につかむ
価格が上がる長期契約を結んだ企業は需要と供給の変化を敏感に
つかみ取ったことになります。
その需要と供給の変化を即座に価格(契約)に盛り込むことに成功
したのです。
ここ、簡単そうに見えますが容易ではありません。
価格交渉をしている担当者が『需要と供給』の状況をリアルタイムに
把握していないことが多いからです。
また担当者は価格を下げる交渉しか経験のない人がほとんどで
価格を上げる交渉は「やりたくない」と感じています。
では、どうすればいいのか?
価格交渉のポイント
商品を提供している側が価格交渉をする場合のポイントは
- 需要と供給の変化を察知
- 価格交渉を担当者ではなくリーダーが行う
ことです。
いつもの担当者だけに任せるのではなく、担当者の上司(リーダー)も
関わって行うことです。
そうすれば、価格交渉の失敗は担当者の責任ではなくなるので
担当者も気が楽になるのではないでしょうか。
交渉はあくまでも提案なので失敗しても問題ではありません。
(態度が上から目線になっている場合は問題になります)
供給量に限りがあるときは限定性がはたらく
価格を段々と上げていく長期契約を結んでいるのは、信越化学工業
株式会社。
業務としては、塩化ビニル樹脂、半導体ウエハ、シリコーン樹脂、
などを主力商品としている企業です。
塩化ビニル樹脂と半導体ウエハにおいては世界シェアNO1企業。
隠れた優秀な企業のひとつです。
顧客である半導体企業は規模を増加させている業界。
そのため将来にわたって安定的な半導体ウエハの供給を望んでいます。
そこに信越化学工業は競合他社の供給量を鑑みて長期契約を結んだ
のです。
供給量が限定的になるとき、こうした契約が可能なのです。
限定性があるときに長期契約を結ぶ
この信越化学工業が絶妙だと感じるのは、顧客と長期契約を結んで
いるところ。
段々と価格が上がる長期契約を結んでいるのです。
これは、需要と供給は時とともに変動するので、交渉権があるときに
利益を稼ぐ契約を交わすだけでなく、将来リスクも消滅させているのです。
その点が交渉として秀逸です。
まとめ
このように、価格は環境によって流動的です。
価格が固定的である、下がるものだという固定概念は環境変化が
激しいときには忘れてしまったほうがよさそうです。
常に価格についても工夫改善が求められるのです。
今後数年間はこの価格変動ができる企業が業績をあげていくのでは
ないでしょうか。