住宅購入費3パターン
住宅業界では建設費を3つのレンジで分けて商品開発をしています。得意とする企業の分類にも用いられます。この分類を見ると、住宅業界はひとつの業界ではありますが、3つの業界に分かれているようにも感じます。それほどまでに顧客層も重ならないですし、戦略もちがいます。
レンジの分け方ですが、次の3分類になります。
- ファーストレンジ:3000万円未満
- セカンドレンジ:3000万円〜5000万円未満
- サードレンジ:5000万円〜
現在は坪あたりの価格(建設費)が95万円になっています【3570万円/37,5坪(123.8㎡)=95.2万円】。なので
・ファーストレンジ:32坪未満
・セカンドレンジ:32坪〜52坪未満
・サードレンジ:52坪〜
となっています。高額になればなるほど坪単価は上がるので坪数は少なくなるかもしれません。わかると思いますが、ファーストレンジは初めて住宅購入する顧客層です。土地購入も同時になるケースも多く、家族は3人〜4人でしょう。セカンドレンジになると建替えが増えてきます。土地購入費がかからないので建設費が増えていきます。サードレンジは、富裕層になります。ある程度ゆとりを持っている方々です。
2021年度フラット35利用者調査(住宅金融支援機構)より
https://www.jhf.go.jp/files/400361622.pdf
ローコスト価格が上昇
「安いだけでなく長く使えることも重視する購入時」でも書きましたが、日本人は安いだけを求めているわけではありません。長く使える、安全性が高い、信頼性が高い、機能が良い、健康に良いと続きますが、要求度が高いのが現実です。
- 省エネ住宅
- 耐震性住宅
を義務化にする動きがあります。省エネには、ZEHという基準があります。省エネより厳しい内容です。これも今後普及してくると思われます。
ZEHとは
https://www.ykkap.co.jp/business/law/supportguide/zeh/index2.php
省エネと創エネを組み合わせてエネルギー消費量をゼロにする家
こうした住宅の性能基準を上げる取り組みがされると「ローコスト住宅」というジャンルは消滅していきます。住む人にとっては快適な住宅が手に入りますが、価格帯は建物だけで2000万円以上となるでしょう。2000万円以下の住宅は存在しなくなるか、床面積が小さい住宅しか残らないようになっていきます。このファーストレンジは今後変革期を迎えるような気がします。性能基準を高めながら安価な住宅を開発するのではないでしょうか。ブレークスルーするならファーストレンジの住宅だと感じています。
まとめ
住宅業界は大きく変わることがありませんでした。個人の大工が減っていますが、住宅メーカーのシェアが急拡大しているわけではありません。今後は新築が減り、リフォームが増加すると予想されています。しかし、本当にそうなるのでしょうか。日本人の新品好きは外国とは比較になりません。住宅も新築を求める人は大きく減らないと思っています。その点は今後も定点観測したい領域です。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆