新しい施策に対して

企業経営において、従来のビジネスプロセスを変更するとき抵抗勢力に出会うことがあります。最近だとアナログからデジタルへ、DX化はわかりやすいところです。他にも新規事業の取り組みに対して他の部署から抵抗されることもあります。こうした抵抗にあうと、成長の機会が失われることになりますし、他者と比較しても後退していきます。抵抗勢力は「現状が正しい」と主張すると思いますが、確かに現状においては「正しい」です。しかし、企業経営は将来のためにビジネスプロセスを改善したり、新規事業へ取り組むのです。現在と将来を分けて判断すべきでしょう。今回は、抵抗勢力の人たちはどのようなタイプなのか、そして、抵抗勢力への対処法を考えてみたいと思います。

タイプ別

抵抗勢力になりやすいのは、以下のようなタイプの人です。

  1. 変化を嫌う方
    現状に満足し、変化を好まない人は、業務改革に抵抗しがちです。これは年齢に関係ありません。「今までうまくいっているのになぜ変える必要があるのか」といった考えを持つ傾向があり、逆ギレされたこともあります。
  2. 自分の権限や立場が脅かされると感じる人
    改革によって自分の権限や立場が弱まると感じる人は、抵抗勢力になりやすいです。既得権益がある人です。特に、中間管理職など、現在の組織構造の中で一定の権限を持っている人がこれに該当します。だれでも失うことに関しては抵抗したくなるのが普通です。
  3. 過去の失敗経験がある人
    以前に業務改革などに失敗した経験を持つ人は、新たな改革にも懐疑的になりがちです。大きなリスクと感じるのでしょう。「前も同じようなことを試みて失敗した」と条件反射的思考が出てきてしまい、抵抗する傾向があります。
  4. リスク回避志向の強い人
    リスクを取ることを嫌い、安定を好む人は、業務改革に抵抗しやすいです。少しのリスクにも過敏に反応します。とても心配性な性格な人もその中に入ります。
  5. 自分の仕事量が増えると感じる人
    改革によって自分の業務量が増えると感じる人は、抵抗勢力になる可能性があります。増えるのかまだわからないときであっても、仕事が増える見込みがあるだけで抵抗することもあります。そのため新たな業務が増えるときは他に減らす内容も一緒に考えましょう。
  6. 過去の成功体験にとらわれている人
    過去の成功体験から、現状の業務プロセスがベストだと信じ込んでいる人は、新しい方法を受け入れることが難しいようです。新しい方法を取り入れるということは、過去の成功体験を否定されていると感じるようです。無意識の現状維持になってしまうのです。それで抵抗勢力になる傾向があるので注意です。

対処法

社内の抵抗勢力に対応するためには、以下のようなアプローチが有効だと考えています。

  1. 抵抗の理由を深くヒアリングする
    抵抗するスタッフの立場に立ち、なぜ抵抗するのかを理解することがスタートです。いきなり問い詰めないことです。変化に対する不安、自分の権限や立場の変化への懸念など、抵抗の背景にある心理的要因をヒアリングして引き出しましょう。これをショートカットして進めると結局のところ途中で止まります。時間をかける領域です。
  2. コミュニケーションを密にする
    抵抗勢力とのコミュニケーションを積極的に行う方がいいのはわかっていると思います。しかし、聞いてくれるのか疑問です。そんなときはソフトな接触から回数を重ねることになるでしょう。その上で、改革の必要性や目的、期待される効果などを丁寧に説明します。
  3. 巻き込む
    理解を得られた後は、プロセスに巻き込むことで、当事者意識を持たせることができます。ここまで来れば、協力的な姿勢を引き出すことができると思います。その後は、改革の計画立案や実行に参加してもらい、自分たちの意見が反映されていると実感させることが大切です。

まとめ

このように抵抗勢力は普通に発生します。抵抗勢力の方も意地悪をしているわけではなく、正当な意見を述べているだけです。ただ、将来を考えたときに方向性が違うだけです。現状維持でも良いのならそのままでいいのですが、企業はそんなわけにはいきません。世の中の変化は止まることがないからです。抵抗勢力の方にも理解を深めてもらうことは欠かすことができないので、その優先順位を間違わないようにしましょう。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆