「イライラする」の裏にある本音
ニトリHDの似鳥昭雄会長が
「利上げが遅すぎる、イライラする」
「1ドル=150円を切ってほしい」
という発言が目に止まりました。最近では珍しい発言です。というのも、企業経営者の発言が現在は制限されているように感じていたからです。いわゆる忖度した発言が多いと思っていたからです。そこに、このストレートな発言が目立ちます。
現政権は円安容認、円安の方がメリットが大きいことを発言してきました。そのため、輸入企業にとっては逆風だったのです。商品のほとんどを海外から輸入するニトリにとって、円安は仕入れコストを直撃する最大の経営リスク。なんとか改善してほしいと願っているのでしょう。日銀が利上げを先送りするたびに感じていた本音が出てきたと思います。6月に0.25%の利上げの可能性があるとはいえ、為替が思うように動かない現実への苛立ちが、あの率直な言葉に表れていると感じます。
「為替は読めない」を前提
円安の状態から円高にコントロールするのは難易度が高いのはご存知だと思います。たとえば、ドル円に対して円高にするには、手元にドルが必要です。ドルを持っていなければ為替介入できないのです。しかも、為替の市場規模を考えると、為替介入する金額は少なすぎる。一瞬円高になりますが、すぐに円安に戻ってしまいます。現在は1ドル160円になる頃に為替介入をして一瞬だけ円高になることを繰り返しています。しかも、その後はまた1ドル160円まで戻ってしまうのです。
この現象から見ても、為替介入は何度も繰り出せる策ではありません。為替介入自体が限定施策だと理解しておくことです。
数年前と前提が変わる
サプライチェーンはグローバルで行った方が各国にメリットがもたらされる。これが数年前までの常識。現在では、米国の関税に始まり、中東問題とグローバルなサプライチェーンのリスクがクローズアップされています。
調達も海外だけの依存度が高いほどリスクが高まっており、国内調達を増やす企業も出ています。為替の動きはその判断や決断の要因になっており、今後もいきなり変わることもあるでしょう。しかし、一時的な円高はあっても、長期的に見て円安傾向が継続すると予想しています。
まとめ
ニトリも海外で製造することでコストリーダーシップを維持してきました。利益率は高い企業のひとつで、何度でも値下げできると以前は豪語していた企業のひとつです。それが、イライラする、と率直な意思表示をしたのは、為替が円安容認で動いていることへの苛立ちでしょう。このように、ビジネスはひとつの成功に対しても、他の選択肢がない場合は、大手企業でも何もできないのです。その点は考慮したい部分です。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆
