老舗餅屋が賞を受賞した理由
1575年創業、450年超の歴史を持つ三重県の老舗「二軒茶屋餅角屋本店」。お餅を提供する茶屋です。現在も存続していますが、全国的には、新規事業の方が有名。
それは、伊勢角屋麦酒です。21代目である鈴木成宗氏が1997年にビール事業を立ち上げました。海外でも評価が高く、イギリスでも賞を受賞しています。本格的なテイストが評価されているのです。個人的にも購入していますし、人にも紹介しています。味がしっかりとしており、ビールらしいビールといえるでしょう。
東京でもリアル店舗がリアル店舗が3店舗あり、気軽に体験できるようになっています。その成長を前から見てきました。いまでは、会社の売上20億円のうち16億円をビール事業が占めるまでに成長しているようです。出荷量では全国の地ビールメーカーでトップクラスになり、輸出先は10カ国以上に広がっています。
集中戦略
通常ですと、新規事業は
・継続しない
ことの方が多い。特に経験のない事業に進出すると必ずといっていいほど失敗するものです。しかし、そこは、
・麦酒
だけに絞り、一点突破で進出したことが結果を生んだと思います。麦酒も種類がありますが、本格的な味の追求というジャンルに絞ったことも要因だと思います。かなり研究寄りのプロセスを選択して、開発していたのです。店舗に行くとわかりますが、今までの製品の写真がポスターになっていますが、これだけの種類を開発してきたのかと感心します。他とちがうオリジナル性を出さなければならないので、開発に時間と労力がかかったと思います。
そのプロセスは、成功するまで周りから見ればヒヤヒヤ感があったのではないでしょうか。顧客のニーズを聞くわけでもなく、とにかく良いものを作り上げるというプロダクトアウトの考え方だからです。
方向転換も
2020年、コロナ禍で飲食店向けの樽ビール需要が蒸発したとき、伊勢角屋は大きな決断をしました。流通しやすい缶ビール製品の開発に全力を注いだのです。2021年に販売を開始すると、スーパーや酒販店を通じて全国に流通が拡大。結果として、コロナ前と比較して倍増の売上を達成しています。たしかに、この頃からスーパーやコンビニでも見かけるようになったのです。
まとめ
多くの企業が守りに入るなか、伊勢角屋は「チャネル転換の好機」ととらえました。そこには、方向転換の迷いもあったと思います。大量につくるほど、個性がなくなるのではないか。安売りになるのではないか。その迷いの中での決断が結果につながっています。根底には、「製品の品質の高さ」があるのはもちろんです。その上で、方向転換がプラスになった事例だと感じます。
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