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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆

本業がしぼんでいくとき

「業界が半減した」
「どんどんなくなっていく、仕事が」
「このままでは将来は赤字確定だ」
業界によってはこんな状態が続いています。

そんなとき、企業経営はどのように道を切り開いて
いくのか。

今日は鉄道業界を取り上げます。
本業の鉄道事業で赤字になっている企業もあり
今後は存続が危ぶまれています。

成功事例はまだ少ないですがないわけではありません。
本業以外で成功している事例を見ていきたいと思います。

電車

鉄道事業の実態

鉄道業界は「人口減少」の影響をダイレクトに受けています。
特に存続ギリギリの状態である鉄道会社は今後の存続が
危険視されています。

私も全国出張しているとき、在来線にもあえて乗りますが
朝は高校生がほとんど。
あとは少し通勤の人。
そんな状態です。

それ以外の人は徒歩、自動車になるので鉄道を必要としている
層が限られているのを感じます。
そこに人口減少が折り重なってきているのです。

電車

JRも勝ち負けが分かれている

JRは民営後に勝ち負けがはっきりと分かれました。
JR四国は1987年の発足以来ずっと赤字。
実に31年連続です。
合理化には励んでおり数値は改善していますが
赤字の状態は変わらず。
そもそものビジネスモデルが成立していないように感じます。

JR北海道も赤字体質から脱していません。
北海道新幹線も開通しましたが乗車率はふるわず。
3割程度の乗車率で北海道新幹線だけを見ても赤字で利益が
出ていません。

成功事例:鉄道会社

成功事例もあります。
今回取り上げる成功事例は鉄道事業で黒字になった企業ではなく
本業以外で収益をあげている企業を取り上げます。

というのも鉄道はエリアによって差があります。
エリア人口と鉄道路線距離。
これは増やすことが容易ではありません。
そのため本業以外で収益を稼いでいる鉄道会社があるのです。

JR九州

JR九州は民営化当初、赤字300億円企業。
現在は500億円の黒字(2017年度)。
2016年の上場。
売上の半数以上が鉄道事業以外から得ています。(6割)
グループ会社37社。
ホテル、小売、流通、建設、不動産、飲食、高速船など
事業は多岐にわたります。
(出典:https://diamond.jp/articles/-/179140)

九州は200回以上訪問していますので、JR九州の発展は
目の当たりにしてきました。
駅ビルの発展は目を見張るものがあります。

単なる駅ビルを新築するだけでなく、小売店は「九州発」の
店舗の誘致に成功しています。
そう、九州のライフスタイルがJR九州によって変化していったのです。

駅ホーム

遠州鉄道と静岡鉄道

私鉄ではさらにユニークな鉄道会社があります。
売上の中で鉄道事業が1%しかない鉄道会社です。

静岡県にある遠州鉄道と静岡鉄道です。
遠州鉄道はグループで2,138億円の連結売上
静岡鉄道はグループで1,762億円の売上
となっています。

その中で鉄道の収入(鉄道運輸収入)は
遠州鉄道が17億円(0.8%)
静岡鉄道は15億円(0.9%)
しかないのです。
(出典:https://diamond.jp/articles/-/204992?display=b)

ではいったい売上の大半はどのような事業が占めているので
しょうか。

遠州鉄道の4割、静岡鉄道の6割の売上は「流通事業」から
得ています。
流通事業とは「自動車販売(自動車ディーラー)」です。
具体的にはトヨタ自動車のディーラーを展開しています。

通勤

まとめ

今回は数社の内容しか見ていませんが、鉄道会社のビジネスモデルは
かけ離れた形になっていることに気が付きます。

ドル箱路線を持っている企業はそこに特化していたり、ドル箱路線の
収益だけに頼っている企業もあります。

現在黒字だから将来も黒字とは限りません。
現在厳しい状況の会社ほど将来を切り開くこともよくあることです。

「策は100万通りある」と言われていますが、次の手を打っている
企業だけが生き残るという事実を見せつけられた業界だと感じます。