【fjconsultants365日Blog:4,485投稿目:10年超継続】fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆

大手企業の新規立ち上げ

新規事業の立ち上げは会社規模に関わらず問題が複数発生します。
大手企業が新規事業を立ち上げるときも発生する問題には差がありません。
新規事業の投資金額が大きくなる程度です。
投資金額が大きくなれば猶予期間が長くなり事業の黒字化まで時間が取れます。
とはいっても、課題がなくなるわけでもありません。

そのため新規事業立ち上げ事例には学びが大きいと考えています。
今回は大手企業が立ち上げた介護サービス事業の状況から計画を実際の差を明確にしながら発生した問題点を考えてみたいと思います。

事業構想の実践知  パナソニックの介護サービス事業を例に

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プレゼンテーション

計画と実践の乖離

新規事業はスタート前に計画を立てます。
おそらくこのような環境だろう、状況だろう、と考え事業の人員や設備を予定していきます。
その精度が高ければ問題ないのですが新規事業は精度が上がらないのが問題。
今回取り上げる大手企業の介護サービスも下記の点が計画と実際の差として出ています。

  • 介護用品の販売で計画していたが→要望はレンタルだったのでレンタルで実践
  • 介護リフォームの施工:自社販売網(工務店)で計画していたが→工事規模が合わず専門職を独自育成
  • 店舗展開:系列電器店では介護現場の悩みに応えられない→直営店を開業

新規事業の立ち上げは、実践してみると予想外のことばかり。
これが現実だと感じます。
他社の事例は見誤ったケースとして自分の中に蓄積しておきましょう。
そうすれば、予測領域が増え精度が上がっていきます。

実践知の10箇条

この企業で定めていた10箇条があります。

  • 新規事業の起動には、自らに強い想いと驚異的な行動力がないといけない
  • 新規事業は24時間365日、片時も気を抜けない。頼りになるのは共に汗をかく仲間たち
  • 現場の小さな成功事例を見つけ出し、ビジネスモデル化する。そして必ず実践する
  • 新規事業は予測がつかないだらけ。なぜ上手くいかないかを分析し、アイデアを出す
  • 顧客のニーズは現場でしか発見できない。毎日でも現場を回り、ニーズを五感で探し出す
  • サービスの品質は現場で作られる。本当のCS経営を実践しないと支持されない
  • どの段階でも数字に強くこだわる。目標を二重管理せず、必達数字だけを掲げる
  • 事業や粗利を縦通しに見ない。カテゴリーごとに分解して課題を発見する
  • 社員一人当たりの生産性を上げること。1%の粗利率に強くこだわること。
  • 事業構想の原点は社会課題の解決。経営理念のない組織は、継続しない。

実践後の指針として制定されていますので内容は現実的。
シビアな内容であり、参考になります。

まとめ

新規事業の立ち上げにおいて、予想外だった事象は事例から学ぶポイントです。
計画していたのに、その通りにならなかった内容。
そこに価値があります。

今回の事例の中だと、
・販売を計画していたが要望と環境はレンタルだった
・施工の規模が読み違っていた
・店舗展開も系列に任せる予定がそれでは無理と判断して直営をつくった
の3点がありましたが、この内容だけでも今後に活かせる内容だと感じます。