攻防戦継続中か

日銀の国債買い入れ額がまた更新されています。2022年6月に更新されて以来のことです。6月は単月で終了しましたが、今回は期間が長くなっているのが気になります。12月の単月の日銀国債買い入れ額が17兆円と過去最高を記録し、落ち着くのかと思えば2023年1月に入っても国債買い入れ額は減っていないようです。1日あたりの国債買い入れ額は1月12日に過去最高の4.6兆円を記録しました。海外のヘッジファンドが日本国債の売りを浴びせているのが想像できます。今後もこの動きには注目しています。

日銀の国債買い入れ額過去最高額:推移
2022年06月:16兆円/月 過去最高
2022年12月:17兆円/月 過去最高更新
2023年01月:23兆円/月 過去最高更新(2023/02/03追記)

2022年6月15日:3.7兆円/日 過去最高
2023年1月12日:4.6兆円/日 過去最高
2023年1月13日:5.0兆円/日 過去最高更新(2023/01/14追記)
2023年1月16日:2.1兆円/日 (2023/01/16追記)
2023年1月17日現在で1月の国債買い入れ額17兆円突破、1月が最高になるのが事実上決定(2023/01/17追記)

fjconsultants作成

先日もこの話題を話していたときに認識の違いを感じました。中央銀行が国債の直接買い入れは通常禁止されています。他国の中央銀行では行っていません。日本だけの現象なのです。この認識がないのです。日本の場合、日本銀行は「直接国債を買っていない」と弁明しています。発行された国債はいったん市場に出て、そこから日銀は国債を買い入れしているからです。しかし、最近では発行された国債を即日買い入れしているケースもあり、ほぼ直接買い入れと同じことをしています。

通貨信用を失うことも

なぜ中央銀国が直接国債を買い入れてはいけないのでしょうか。簡単に説明すると紙幣の量が増えれば紙幣価値が下がります。「薄まる」と表現されることもあります。通貨価値の減少とともに信用も失うのです。信用を失った瞬間に紙幣が紙クズになるというストーリーです。日経新聞にもドイツの事例が出ています。紙幣価値は1/1兆まで下がりました。ほぼゼロになったのです。

「ハイパーインフレの教訓 ドイツの悲劇から100年」
巨額の賠償金をまかなうため、国債を大量に発行していたときである。戦中から始まっていたインフレは止まらなくなり、マルクの価値は23年末までに戦前と比べて1兆分の1以下に落ち込んだ・・・政府が野放図に国債を発行し、中央銀行がお札を刷って引き受ける。それを続ければ通貨は信用を失い、やがて紙くず同然になる。ドイツを襲った天文学的なインフレは、起こるべくして起こった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1080M0Q3A110C2000000/

上限超える2023/01/13

書いている途中に長期金利が日銀の上限を超えたと報道がありました。ただ長期金利は2023年1月10日の時点で10年債券利回りは終値0.504%となっておりその兆候は見られました。ただ動きが速いです。

10年債券利回り

長期金利、日銀の上限超える 一時0.545%に上昇:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB065K30W3A100C2000000/

まとめ

年明けにも関わらず目が離せない動きが続いています。2023年1月17日18日に金融政策決定会合が予定されており日銀の政策変更があると見込んで仕掛けられているようです。ということはそこまでは、ある程度の活発な動きが見られるでしょう。攻防戦も続きます。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆