電力の価格

先日、東京電力からの値上げ通知が手元に届きました。通知には具体的なモデルケースが示されており、これが興味深いものでした。例えば、30A260kWh、従量電灯Bのモデルケースでは、値上げ前の料金が6,809円であったものが、値上げ後には7,690円となっています。これは、具体的には881円の値上げであり、その値上げ率はなんと12.94%に達しています。

12%増だと大きい

値上げの割合を12%と聞いた時、これは大幅な値上げであると感じることでしょう。しかし、残念ながらこの現象は東京電力だけでなく、様々な分野に及んでいます。食品の価格も同じように上昇しており、7月からはなんと3500品目が値上げされることになっています。そして、この年に入ってからすでに値上げされた品目の数は3万品目に迫っており、これは昨年の数をすでに上回っています。

値上げに慣れたのか

現在、値上げラッシュの時期に突入しています。これらの値上げが始まってから既に2年間が経とうとしていますが、その間に値上げに対する感覚が変わった人が出てくる時期ではないでしょうか。もちろん、中には今後も値上げが続くという現実を実感している人もいるでしょう。

人は18ヶ月間を超えると「慣れ」から「定着」へと移行すると考えています。法則性があるのです。つまり、この値上げラッシュも既にその時期が到来していると言えるかもしれません。しかしながら、値上げというのは基本的に痛みを伴うものですから、「慣れることはない」と言う人も周囲には存在します。

サイクルに入ってきた

このような状況を踏まえると、今後の経済の動向はどうなるのか。物価の上昇は個々の生活に深く影響を及ぼし、それが社会全体の消費行動にも影響を与えます。しかし、物価の上昇は必ずしも悪いことだけではなく、経済の活性化や雇用の創出にも寄与することがあります。成長している企業はさらに成長し、強い企業はさらに強くなるサイクルに入るのです。このような観点から、今後の物価の動向やそれが社会全体に与える影響については、引き続き注視していく必要があるでしょう。

値上げの原因

値上げの要因も見ておきます。値上げには下記のような原因があります。

  1. 原材料コストの上昇(コストアップインフレ):
    国際的な供給チェーンの問題や、一部の商品(例えば、エネルギー、食品など)の世界的な価格上昇が、国内の商品やサービスの価格に影響を与えています
  2. 労働コストの上昇:
    日本の労働力人口は減少しており、これが労働コストの上昇を引き起こし、結果的に商品やサービスの価格上昇につながっています。最低賃金の上昇も影響しています
  3. 為替レートの変動:
    円の価値の変動は輸出入の価格に影響を及ぼし、結果的に国内の価格に影響を与えています。輸入に関しては、原材料コスト(原価)にも影響を与えています
  4. 量的緩和政策:
    過去数年間にわたり、日本銀行は大規模な量的緩和政策を続けてきました。これは経済を刺激する一方で、長期的にはインフレを引き起こす可能性があります。まだ検証中です

まとめ

値上げに慣れたくない気持ちもありますが、値上げに慣れる、値上げを前提として思考回路に切り替えることはビジネスをするうえでは必須事項。経営者やリーダーはそのつもりで判断しなければ失策を選んでしまうことも発生するでしょう。米国や欧州のインフレを分析しながら、その要因を理解し、次の日本がどのような形でインフレが発生していくのかを予測したいところです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆