EV開発からAIへのシフト

経営の報告転換は経営者にとっては不確定の状態で決断をしなければならないときがあります。企業の規模に関わらずそれは発生します。世の中が急展開するときは大企業でも彷徨うことがあるのです。2023年の1年間はAIがスタートする時期でした。ChatGPTの急展開が発生し、他の企業は追随することに追われていたのです。方向転換を迫られてしまったわけです。AI以外に研究開発や経営資源を投資していた企業は、そのまま経営資源を投入し続けるか、ストップしてAIに方向転換するのか迷う場面だったと言えるでしょう。今回は、その状況下のAppleの事例を取り上げてみます。Appleがこの時期にどのような判断をしたのかは大きな流れを作るかもしれないのです。

EV開発計画の中断とAIへの転換

Appleは、長期にわたる電気自動車(EV)の開発計画を断念し、そのリソースを人工知能(AI)分野へとシフトするという決断を下しました。欧州がEVについて方向転換(延期)したのも、大きな要因のひとつでしょう。「欧州連合(EU)は2035年にガソリンなどで走るエンジン車の新車販売を禁止」という内容を見直しすると報道され始めたのです。この変更、大きな決断だと感じます。

SiriとChatGPTの連動の噂

AppleはAIに関して公式な発言を控えていますが、噂によれば、同社のデジタルアシスタントであるSiriに、オープンAIのChatGPTが連動するとされています。この連携が実現すれば、Siriの応答能力とユーザー体験は大幅に向上することが期待されます。他社の進度が速いので、協業によって追随するパターンです。通常ならばAppleはChatGPTを買収する方向を探ると思いますが、マイクロソフト社が投資しているので、その選択肢は取れません。限られた選択肢として協業を選んだ可能性があります。

VRゴーグルへ注力してた

AppleがAI開発に対して遅れているイメージがあります。それは、VRゴーグル「Appleビジョンプロ」の発売に力を入れていたからでしょう。この製品は、アップルが提唱する「空間コンピューティング」の概念を体現したものであり、新たなデジタル体験を提供することを目指しています。しかし、AIの話題より弱く、インパクトの弱いスタートになってしまいました。この結果は製品を出すタイミングが大事なポイントだということがわかります。

経営資源の配置と将来予測の重要性

企業が経営資源をどこに集中させるかは、その成功に直結する重要なポイントです。特に大企業であればあるほど、時流を読み、数年先の未来を予測し、適切な資源配置を行うことが求められます。企業は、常に最先端のトレンドを見極め、柔軟に戦略を調整することが、持続的な成長とイノベーションを実現するために不可欠です。

まとめ

世の中の変動率が高いときの経営判断はどの経営者も同じだと感じました。迷いながら、不確定な条件しかない状態で次を決定しなければなりません。その中である程度の成功率を維持しなければならないのです。そのとき、情報がカギになります。タイミングをつかむには情報が欠かせません。そのためにも、移動することも躊躇せず、費用がかかることも遠慮せず行っていきたいところです。

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