全員が強気

相場の世界には、「全員が強気なときほど危ういものはない」という言葉があります。これは、市場参加者全員が強気になったとき、相場は大きな転換点を迎えることが多いという経験則です。この現象は企業の組織内でも同じように見ることがあります。今回は、企業組織において全員が強気になることの危険性と、そのメカニズムについて考えてみたいと思います。

「Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria.」
強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/27135

絶好調の事業部からスタート

ある事業部が絶好調のとき、その部署のリーダーはさらに強気になり、部署メンバー全員も強気になりがちです。業績が好調なことで自信が高まり、何をやってもうまくいくと思い込み始めるころです。さらに、この強気な雰囲気は部長や役員にも伝播し、最終的には社長までもが強気モードに入ることがあります。

これは組織全体が自信に満ちあふれているようで良いことのように思えますが、実はこれは危険な兆候という一面もあります。全員が強気になると、冷静な判断力が失われ、客観的な視点が欠如してしまい判断ミスが発生するからです。

弊害

強気になると、人は往々にして横柄、わがままになり自分の思い描いた通りにコントロールしたくなります。耳の痛い意見を聞こうとせず、批判的な声を押さえ込もうとするのも特徴的です。「なぜこんなことを言うのだ」と言われたことがある人もいるでしょう。このような態度は、組織内の健全なコミュニケーションを阻害し、問題点を見落とす原因となります。振り返ると、何度も遭遇する場面であったと感じます。

同じことの連続へ

全員が強気になると、同じことしかしなくなる傾向があります。なぜなら、うまくいっている方法を変える必要がないと考えるからです。成功体験の呪縛です。しかし、同じことの連続は、長期的には組織の成長を妨げ、後退を招くことになります。

そのため強気な部署も、数年のうちに衰退していくことが多いのです。「バブルの渦中にいるときには、それがバブルだと気づかない」ように、業績がピークに達しているときにも、それがピークだと認識することはないものです。さらに、業績はこれからも伸び続けるだろうと信じており、発言も有能感に満ちてきます。しばらく経って振り返ったときに、あれがピークだったと気がつくだけです。

再現性がある

これは、市場環境の変化に対応できたおらず、同じことの継続による降下現象といえるでしょう。過去の成功体験が通用しなくなることは珍しくありません。全員が強気になった後に業績が落ちていくというサイクルは、驚くほど再現性が高いものです。相場の世界でも、企業組織でも、繰り返し観察される現象だと感じています。

まとめ

「全員が強気なときほど危ういものはない」という相場の格言は、企業組織にも当てはまることがわかります。強気になることは、短期的には自信となって組織を活性化させるかもしれません。しかし、長期的に見れば、傲慢さを生み、変化への対応力を失わせる危険性があると考えています。常に変化させ、進化させる人しか残れないと思うのです。新しいことを導入する、改善する、開発するしかないでしょう。

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