経営のゴーイングコンサーンとは

経営における「ゴーイングコンサーン(Going Concern)」とは、企業が将来も継続的に事業を展開していくことの前提を指します。継続に対して疑わしい事象が存在する場合、上場会社はその内容を公開(記載)する必要があります。では、なぜゴーイングコンサーンがあるのでしょうか。

  1. 財務諸表の基盤:
    企業の財務諸表はゴーイングコンサーンの前提のもとで作成されます。この前提が崩れると、資産の減損や負債の返済計画などの計上方法が変わる可能性があり、投資家やクレジット判断を行う側にとって大きな影響が出ます。減価償却は事業継続を前提にして計算することになっています。
  2. 企業価値の維持・向上:
    企業がゴーイングコンサーンの前提で経営を行うことで、ステークホルダー(株主、従業員、取引先など)の信頼を維持・向上させることができます。

会社が将来にわたって事業継続していくことの前提のこと。
英語表記「going concern」の日本語読みで、「継続企業の前提」ともいいます。継続的な営業赤字や債務超過など、事業活動継続の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在する場合には、有価証券報告書、四半期報告書などの財務諸表に、継続企業の前提に関する注記を記載する必要があります。

https://www.daiwa.jp/glossary/YST2687.html

継続企業の注記事例

上場企業では「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン、GC)に関する注記」がある企業は2023年3月期では24社でした。その内容は下記のような内容です。

  1. 売上減少、継続的な営業損失、営業キャッシュフローのマイナス
  2. 債務超過状況
  3. 資金繰りの悪化や社債等の償還、返済不履行
  4. 主要な取引先との関係悪化、取引継続拒絶
  5. 法的な問題や訴訟の有無

経営の継続ができないような事象が発生した場合に記載される内容です。約3800社の上場会社の中で24社に記載があったので、率としては0.6%程度です。1000社のうち6社が記載していることになります。

まとめ

ゴーイングコンサーンは、企業経営において基本的な考え方として位置づけられています。経営者は前提が崩れるような危機を早期に察知し、適切な対応を行うことが求められます。ステークホルダーとしても、企業のゴーイングコンサーンの状況を適切に理解し、投資や取引の判断を行うことです。突然、企業業績は変わることがあります。急転することも不思議ではありません。企業規模によらず発生します。安心せずに見ていくことだと感じます。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆