2つの記事

最近目についた2つの記事です。金融業界の話題になります。センシティブな内容なので、あまり大きく取り上げられることはないでしょう。取り付け騒ぎにならないように慎重に扱われるニュースだと感じています。過去を振り返ると金融関係のマイナスニュースは、他に大きなできごとが発生したときに、ひっそりと掲載されるのを見たことがあります。それだけ注意深く扱っているのがわかります。

農中、1.2兆円の資本増強検討 債券含み損、今期5000億円超の赤字

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80783240Z10C24A5MM8000/

金融庁、じもとHD(きらやか銀行)の議決権63%取得へ 公的資金無配で

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB164570W4A510C2000000/

農林中央金庫の場合

下記は農林中央金庫の2024年2月のIR資料です。55兆円の運用をしていますが
・株式:3%
・債券:54%
・クレジット等:42%
というポートフォリオになっています。株式がほとんどなく、債券に偏っていることがわかります。債券の中に米国債があり、米国金利上昇によって損失が膨らみました。大きな含み損を抱えることになったのです。そのため資本増強をすることになったわけです。

農林中央金庫IR

きらやか銀行の場合

金融庁が63%の議決権を持つことになるきらやか銀行(じもとHD)は実質的な国有化です。しかし、金融庁は「りそな銀行のときとは違う」と言っているようですが、それは関わり方がちがうだけで、実質国有化には変わりないと感じています。きらやか銀行の内容が他の金融機関へも影響が出ていると感じています。ようするに、企業融資の審査を正確にする動きが出てきているのです。もしくは、企業経営の実態を正確に把握するようにする動きになるでしょう。

まとめ

たった2つの事象なので、全体に大きく影響は出ませんが、久しぶりの事象であることは覚えておきたいところです。このような小さい事象が前兆にならないよう願うばかりです。金融機関は企業経営と結びつきが強く、金融機関の動き次第では経営も変わってしまうのは事実。今後の動きに注目したいと思います。

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