パターンを「見つけてしまう」生き物である
心理学には「アポフェニア(Apophenia)」という概念があります。
・無関係な事象の間に、意味のあるパターンやつながりを見出してしまう人間の認知傾向
のことです。
ドイツの精神科医クラウス・コンラッドが提唱したこの概念。たとえば、月を見て、そこにウサギが見えるのもその一種です。点がふたつ、線がひとつで顔に見えるのもそうですね。:)
このように人は、意味がないものも意味があるように思えてしまう習性があることは知っておくべきでしょう。
本能的な習性
人間の脳は、ランダムなノイズの中にも規則性を見つけ出すようにできています。これは
・進化上の利点
でもありました。草むらの揺れからライオンの存在を察知する能力は、生存に直結したからです。
「パターンがないのにあると思う」誤りより、
「パターンがあるのに見逃す」誤りのほうが致命的だったわけです。
だから脳は、パターンを過剰に検出する方向に最適化されているのでしょう。しかし、この本能が経営の場に持ち込まれると、たまに厄介な問題を引き起こしてしまいます。
・新商品を出した月にたまたま売上が伸びた
・新しい広告を打った直後に偶然問い合わせが増えた
・朝礼を行ったら、翌週に受注した
こうしたできごとを経験すると、自然と「あれが効いたのだ」と因果関係を見出します。しかし、本当にそこに因果関係はあるのか疑いながら見極めていきたい部分です。
成功体験が「偽の法則」をつくる
経営の現場でアポフェニアが作用するのは、成功体験の解釈においてです。
ある施策の後に業績が改善すると、その施策を「成功の原因」と認識します。しかし、実際には
・季節要因
・競合の動き
・景気の波
・市場動向変化
など、複数の変数が同時に動いています。
たったひとつの施策との因果関係を特定することは、きわめて難しい。そう感じます。
それでも、脳は
・「あのときこうしたら、こうなった」
というストーリーを自動的に構築します。
そして一度その物語が定着すると、次の局面でも同じ手を打とうとする。毎年同じ施策しか打ち出さないリーダーを見るとそれを感じます。
「疑う技術」が質を上げる
問題は、前回の成功が再現されなかったとき、
「やり方がわるかった」
と考えるのか、
「そもそも因果関係がなかった」
と考えるのか、その分岐点にあります。
ただ、一度信じた法則を疑うことは、過去の自分を否定することにつながるので、どうしても「やり方がわるかった」となってしまいがち。それによって、意思決定の精度を静かに落ちていくのです。
まとめ
認知バイアスは普通に発生します。どんな人でも発生すると思って間違いないです。
なので、無関係なできごとに因果関係を見出し、そこから「法則」をつくり上げてしまうこともあるのだと認識したい。日々の判断の中で、自分の判断の根拠が本当に間違っていないのかは、常に疑って見るべきでしょう。成功しているときほど、注意したい領域です。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆
